血管年齢とは?


今から100年ほど前の内科医、ウイリアム・オスラー(1849~1919)の有名な言葉で「人は血管と共に老いる」という言葉があります。

人は誰しも歳をとっていくと血管、特に動脈の老化が進み、本来あるべき動脈の弾力性が無くなってきます。
 
血管年齢とは実際の年齢に対して、血管の弾力性が何歳くらいに相当するかを示したものです。
血管年齢、つまりは動脈硬化の評価は以前は血管造影など患者に身体的にも精神的にも負担のかかる検査しかありませんでしたが、今では非侵襲的な簡単な検査で測定できるようになってきました。
よくデパートなどの健康セミナーなどで使われているBCチェッカーのような指先だけで測るタイプのものもありますが、当院では手足の血圧を測る事により血圧に依存しない、再現性に優れた血圧脈波検査装置を使って測定する事で、動脈硬化の程度を知る事が出来ます。
検査時間はおよそ5分程度でCAVIとABI、血管年齢を知る事が出来ます。
 
血管の硬さの指標 CAVI
CAVIは大動脈を含む「心臓から足首まで」の動脈の硬さを反映する指標で、動脈硬化が進行するほど高い値になります。
大動脈の弾力性が低下する事は心疾患の発症や予後を決める因子になる事が知られており、CAVIはそれらの早期診断と管理に役立ちます。
 
下肢動脈の狭窄、閉塞の指標 ABI
ABIは下肢動脈の狭窄や閉塞を評価する指標です。
上腕と足首の血圧から算出されます。
ABIは身体に無理をかけることなく数値で評価出来る検査で、末梢動脈の病気の早期発見に有用です。
末梢動脈疾患は、心血管疾患や脳血管疾患など他臓器障害との合併が多く見られるので、早期発見が重要です。
 
骨年齢とは?


骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である骨粗鬆症は、高齢化の進む我が国では約1,000万人の患者がいると言われています。

高齢者の寝たきりの原因のうち約20%が骨折と言われ、背中が丸く曲がってくる原因も多くは骨粗鬆症のための骨量減少による脊椎の圧迫骨折によるものです。
骨年齢とは骨の中のカルシウム量がどれだけの密度であるか、つまり骨密度を測定する事により、実際の年齢に対して、骨密度が何歳ぐらいに相当するかを示したものです。
骨密度の測定方法はレントゲンを使う方法や超音波検査を使う方法があり、測定部位も手のひらの骨や腕の骨、脊椎やかかとの骨と様々です。当院では極少量のレントゲンで前腕の骨の検査をする方法(DXA法)を採用、再現性と精度の高い検査で骨の強さを調べる事が出来ます。検査時間はおよそ20秒ほどで、放射線の被曝は殆ど気にしなくていい検査方法です。
 
骨密度検査と骨代謝検査でより適した治療を
骨塩定量を行って骨粗鬆症が疑われれば、薬による治療が検討されます。治療を開始するに当たって骨の新陳代謝を知る必要があります。骨の代謝は骨を作る骨芽細胞と、骨を壊す破骨細胞により、骨密度が保たれているのですが、骨粗鬆症ではその二つの細胞のバランスが壊れ、相対的に骨が壊れる量が大きくなってしまってます。その時、骨を作る骨芽細胞が劣っているのか、骨を壊す破骨細胞が亢進しているのかを見極めて治療を行っていかなければなりません。
当院では骨密度を測ると同時に血液検査でその骨代謝を調べる事により、より患者さんにあった治療法を選択していく事が可能です。